6. SNSと孤独感について


 五十嵐・吉田(2003)によると,携帯メールの利用が孤独感を低減させるが,中村(2003)は孤独感に対する恐怖や孤独化耐性の欠如が携帯メールの利用と正の相関があることを明らかにした.また,神野・和田(2015)によると,落合(1983)の孤独感類型判別尺度による孤独感タイプがA型の者は他のタイプの者に比べて携帯メールに依存し,過剰使用しやすい傾向がある.このことから,孤独を恐れて避けるために携帯メールやSNSの利用が促され,結果として孤独感を解消する可能性が考えられる.一方で,前田(2021)によると,注目を獲得しようとすることによるSNS疲れは,孤独感を引き起こす.つまり,SNS上で自分をよく見せようとしたり,「いいね」やフォロワーを増やそうとしたりするために,他人に注目されるような内容を投稿するほど,孤独感が強まると考えられる.また,SNSが普及する前は,誰がどこで何をしているのかということはお互いに分からなかったが,SNSが普及した現代では,友人から見ず知らずの人や芸能人までの生活を覗けるようになった.そこから,劣等感や疎外感,孤独感,嫉妬などの感情が生まれる.孤独感を解消するためにSNSを利用してもそこからまた新しい孤独感などの感情が生まれる可能性も考えられる.



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