考察
3.動画配信サイトのコミュニティへの帰属意識について
本研究では,当該動画配信サイトおよび配信者に対して,視聴者が一定の帰属意識を持っており,配信者とその周辺にある視聴者とでコミュニティが形成されているのではないかという点について検討した。
仮説3について,質問紙調査で全体的にSNS投稿していると回答したのは3人であったため,人数的には少なすぎるが,この結果にもとづいて検討した。質問紙調査では配信サイトで流れるものか,SNSにしても自分が直接関わったことの無い不特定多数の集団に対する回答として分析を行う。
コミットメント尺度を用いて合成得点を求めたところ,最高で5点,平均が3点であることを踏まえると情緒的愛着は2.571,連帯感・忠誠心は1.390であるため全体的に合成得点が低かった。
また,インタビュー調査での情動的コミットメントに即した質問も,「このチャンネルは,あなたにとって何かしら重要な意味や特別な意味を持っていますか。」という文言であり,配信サイトで直接配信者に送信する不特定多数のコメントを含めたチャンネル自体について尋ねている形である。この質問に対しては,一人は「特にない」という反応であったが,もう一人は「他の配信者と比較し,他の動画配信に目もくれないことからある」と回答した。そして,そのコミュニティのことを「唯一ちゃんといつも繋がれるみたいな場所」「生活に染みついている」と付け加えた。
これらを踏まえると,大多数の視聴者にとって仮説3は支持されなかったといえるが,やりとりや発信の多い視聴者にとっては,コミュニティへの帰属意識は高い可能性が高く,この点については今後の課題といえる。
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