5.学習行動について
5.学習行動について
宿題を行うといっても,その行い方つまり学習行動や個人的な工夫には様々なものがあると考えられる。その学習行動の違いについて田中(2018)は「分かりやすいように図を書いたり表を作ったりする」「新しい分野を勉強するとき,前に学んだことと関連させて勉強する」といった内容を十分に理解するような「深い学習行動」,「内容よりも暗記に時間をかける」「テストは考えるというより覚えたことを思い出そうとする」といった「浅い学習行動」,「勉強しなければいけないのに他の事をしてしまう」といった学習行動をとらない「学習回避行動」の3つがあると述べている。研究結果からは,内発的に動機づけられている学生は,内的な満足のために学習に従事し,学習回避行動を控えることが示唆された。また,無力状態に陥っている学生は無動機づけの状態にあり,学習に興味がないものの,単位獲得や課題を終わらせるための浅い学習行動の使用が促進されたとしている。
さらに,小学生における宿題の分析を行った杉村・多喜(1991)では,学業成績と宿題への取り組み方との関連も検討している。「宿題はいつもしていますか」,「宿題は自分から進んでしていますか」,「宿題をするのは好きですか」といった宿題への取り組みと成績の上位群・下位群を比較したところ,宿題をいつもしていると答えた者は,どの学年も成績上位群の方が明らかに多いと示された。そして,宿題をいつも自分から進んでしていると答えた者は,成績上位群の方が有意に多いと示された。これらの結果から,宿題をいつも,そして進んでするか否かが成績と強く関係していることが示された。
このように,宿題においては,どのように取り組むかやその工夫に注目することも重要な視点だと考えられる。
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