4.ストレス対処方略


私たちは,日常生活の中で様々なストレスを感じとる.ストレスとは,「外部から刺激を受けたときに生じる緊張状態」のことであり,この刺激には天候や騒音などの環境的要因の他に,不安や悩みなど心理的な要因,さらには人間関係などの社会的な要因も含まれる(岡本,2023).

 このようなストレスに対する人の思考や行動は対処方略(coping strategy)と呼ばれ,問題や困難に対処するための認知的あるいは行動的方略がストレス対処方略と定義される(Lazarus & Folkman,1984).また,ストレス対処方略は,問題焦点型(problem-focused coping)と情動焦点型(emotion-focused coping)に大別され,前者が問題の解決に重点を置くのに対し,後者は感情を制御することに重点化する(e.g.Crean,2004).問題焦点型が状況を受け入れ,その改善を図るなどしてストレスを感じる環境をなくすための行動を起こすのに対し,情動焦点型は物事の見方を変えたり気晴らしをしたりすることで,ストレス状況下における自身の感情の制御につなげる.一般に,問題解決型が課題解決に直結するため好ましいと考えられる傾向にある(Park & Alder,2003).本研究では,大別された二つの特徴に着目し,それぞれが過剰適応と内省の関連に与える影響について検討する.



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