2.就職不安について
就職における不安として就職不安がある.藤井(1999)は就職不安を“職業決定及び就職活動段階において生じる心配や戸惑い,ならびに就職決定後における将来に対する否定的な見通しや絶望感”と定義し,就職活動に対する不安が強いと,ストレスがたまったり,うつ状態に陥ったりするなど,精神的健康を損なう危険性が高く,ネガティブな影響があることを指摘した.就職不安が高まることで不適応状態に陥る学生が増え,就職活動を円滑に進めることができなくなると考えられる.西山(2003)の研究では,就職不安の中でも職業適性不安と現状の環境を変えようと粘り強く行動する性格特性であるプロアクティブパーソナリティ特性(Bateman&Crant, 1993)との間に負の関連を示し,現状の環境に対して意図的,直接的に働きかけ変えていこうと行動する特性は目指す職業について自己の適正や能力が向いているかという不安と負の関連があることが示された.つまり,プロアクティブパーソナリティ特性傾向が弱まれば,職業適性不安が高まることが示唆された.ところで,就職不安の推移を表した研究として柴田(2006)の研究がある.就職不安の3因子のうち就職活動不安は調査時期によって変化し,内定獲得後に低下することが分かっている.よって,女子学生においては適度な就職不安が就職活動を促進させることが考えられている.
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