赤ちゃんのおもちゃには様々なものがある。それらは赤ちゃんの感覚器官や、
手の機能などの、運動能力の発達にとって重要なものである。週に一度訪問して
いる保育園の乳児クラスにも既製のもの、手作りのものを含め、色々な機能を持
ったおもちゃがあり、子どもたちは遊びの時間にそれらのおもちゃで遊んでいる。
あるとき、R児(当時6ヶ月)が、ペットボトルを水で満たし、光を反射する
素材を入れた手作りのおもちゃに強く反応した。ペットボトルの上下をひっくり
返した時の、素材がゆっくりと舞っておちていく動きをうつ伏せで見ていたのだ
が、笑いながら手足をばたばたと動かし、興奮している様子だった。乳児の手の
大きさや力を考えると、水の入っているような重さのものは持ち上げることが難
しかったり、投げたり落としたりしたときにはけがをする危険性もあり、赤ちゃ
んのおもちゃとしては適切とはいえない点がある。実際水の入ったものは少なく、
形としては、持ち上げる必要のない、球形のものとなる。しかし、R児の様子か
ら、水中での素材の動きが赤ちゃんに何らかの効果を持っているのではないかと
も考えられた。
乳児は手に触れたもの、視界に映ったものなどをつかんだり凝視したりして、
ものの世界と関わっていくようになる。何に対しても反応を示すようだが、より
注意をひく色、音、形などがあり、効果も異なってくるため、赤ちゃんの感覚を
刺激し、また発達段階に適したおもちゃであることが重要なのである。この手作
りのおもちゃは、他の色彩が豊かで音の出るおもちゃと同じように、乳幼児の発
達に有効なものであるか、そして有効であるなら、どのような色や動きがより乳
幼児の関心をひくのか。このことが卒業論文のきっかけとなった。