乳児の発達が著しいことは先にも述べたが、本実験においては、サンプルサイズが
小さいという点で、月齢による比較も5ヶ月ごとにまとめて行った。よって発達に伴
う変化をさらに詳細にみることができなかった。また、個人差が大きいことも考慮す
べき点であり、これもサンプルサイズを大きくすることで対処する必要がある。
また、実験の形態は被験児が刺激のみに集中することができるよう、実験者の顔が
見えないような形態で行うことが望ましい。赤ちゃんが大人と向き合ったままおもち
ゃを提示されると、コミュニケーション場面としての反応を示すことになる。その影
響は月齢差や個人差によっても変わってくるであろうが、やはり刺激注視を妨げてし
まう。
本実験で用いた刺激では、たとえば、素材の材質だけを変えても、落下速度が変わ
ってしまうというように、1つの要因のみを変えることが困難であった。刺激をどう
いった特徴で区別しているかを知るためには、刺激の作成が適当とは言えなかったこ
とは事実である。特に速度を統一することができるよう検討することが望ましい。そ
して刺激の大きさは、2種類しか取り上げることができなかったのでそれらを比較す
ることで適度な大きさを考えたが、それ以外の大きさについても観察することで、最
も適切な大きさを見つけることが可能かもしれない。
さらに赤ちゃんにとって魅力的なおもちゃについて検討するにあたっては、注視行
動だけでは不十分である。水中を落下する素材という刺激は、見つめるという受動的
な楽しみ方と、自ら素材を揺らしたり落下させたりして動かすという能動的な楽しみ
方もできるものと思われるが、予備実験で用いたような、赤ちゃんが把握することが
可能な容器等を用いて、実際に赤ちゃんがそれを把握し、注視し、自ら素材に動きを
与え見つめるという繰り返しを行うかなどを観察する必要がある。
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