本研究において、父親のサポートが母親の育児ストレスを緩衝すると
いう結果が得られた。これは、これまでなされてきた育児ストレスとソ
ーシャル・サポートに関する研究(竹田・岩立, 1998;冬木, 2000;芳賀,
2001)とも合致する。また、本研究では、父親育児サポートに対する母
親の期待感にも焦点を当てた。その結果として、部分的ではあるが、期
待感が母親の育児ストレッサーに影響しており、「具体的サポート」に
対する期待感が高い母親の方が期待感が低い母親より育児ストレッサー
が高くなっていた。しかし、期待感が高い母親に対して期待感以上のサ
ポートがなされていれば、育児ストレッサーは低くなるということも明
らかになった。このことから、やはり、育児は大変な仕事であり、現在
母親の負担は大きく、父親が実際に家事を手伝ったりするなどの具体的
サポートをすることは、母親の負担を減らし、母親の精神的健康を維持
することに有効であり、ひいては、より良い育児環境をつくることにも
つながると言えるのではないだろうか。
また、「具体的なサポート」に対する期待感以外で有意差が見られな
かった理由の1つとして、対象者の人数が少なかったことが考えられる
。今後はもっと多くの母親を対象にした研究が行われることが期待され
る。また、本研究では対象となる子どもの年齢が2〜4歳となっているが
、もっと小さな0歳や1歳の子どもを対象にする場合となると、育児スト
レッサーの内容も期待する育児サポートの内容も異なってくると考えら
れ、今回の研究の結果とは違った結果が得られるかもしれない。
今後さらに、女性の社会進出や独立の動きは強くなっていくと考えら
れ、父親の育児への積極的な参加が求められるだろう。また、本研究で
行った母親の自由記述において、「育児は協力していくものだと思うの
に、父親の育児を『サポート』と呼ぶことが気になった。」「父親に対
ても同じようなアンケートを実施して、母親と父親の結果を比較してみ
て欲しい。」などの記述もあり、母親が育児の主体で父親はサポートと
いう考えは消えつつあり、これからは、父親の育児参加は当たり前のこ
とになっていくだろうと考えられる。しかし、単に父親に育児参加する
ことを求めるだけでは、母親と同様、父親の育児ストレスの問題なども
出てくるだろうと考えられる。そのため、仕事を持ちつつ育児をしてい
父親の大変さも理解し、育児中の父親に関する研究も、母親に関する研
究と同様に、今後は必要となってくるだろう。
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