【方法】



1.調査対象

 三重大学の学生および大学院生233名(男性96名、女性137名)を対象として質問紙調査を実施した。このうち、質問紙に記入漏れや記入ミスのあったものを除き、有効回答者計214名(男性92名、女性122名)のデータを分析対象とした。対象者の平均年齢は21.10歳であった。

2.質問紙調査実施期間

 200511月下旬から12月上旬に実施した。

3.調査実施状況

 調査は講義時間の一部を利用して一斉に実施し、その場で回収した。また、個人的にも調査を依頼し、その場または自宅で各自実施してもらった後に回収した。質問紙の回答に要した時間は約15分程度であった。

4.質問紙の構成

質問紙はフェイスシート、回想された親への愛着尺度、親以外の対象に対する現在の愛着尺度、対人的な構え尺度、充実感尺度から構成された。フェイスシートでは調査についての説明がなされ、回答者の基本属性(性別・年齢・学部・学年)が尋ねられた。各尺度については以下の通りである。

(1)回想された親への愛着に関する尺度

 親への愛着の良好さを測定することを目的とし、小学校だった頃の父親および母親に対する意識を測定するために、佐藤(1993)によって作成された『回想された親への愛着に関する尺度』を用いた。この尺度は全20項目から構成され、3つの因子「安心・依存」「不信・拒否」「分離不安」からなる。

 本研究では、3つの下位尺度から「安心・依存」5項目「不信・拒否」4項目「分離不安」4項目について、父親と母親のそれぞれ13項目、合計26項目を使用した。

 被調査者に、5件法(1.まったくそう思わない 2.あまりそう思わない 3.どちらとも言えない 4.ややそう思う 5.非常にそう思う)で回答を求めた。

(2)親以外の対象に対する現在の愛着に関する尺度

 親以外の対象に対する愛着の良好さを測定することを目的とし、同性の友人および恋愛対象として好意を抱いている人(以下「恋人」とする。)に対する意識を測定するために、佐藤(1993)によって作成された『親以外の対象に対する現在の愛着に関する尺度』を用いた。この尺度は全20項目から構成され、3つの因子「安心・依存」「拒否」「不安」からなる。

 本研究では、3つの下位尺度から「安心・依存」5項目「拒否」3項目「不安」5項目について、友人と恋人のそれぞれ13項目、合計26項目を使用した。

 被調査者に、5件法(1.まったくそう思わない 2.あまりそう思わない 3.どちらとも言えない 4.ややそう思う 5.非常にそう思う)で回答を求めた。

(3)対人的な構えに関する尺度

 不特定の他者に対して抱いている基本的な態度・志向性について測定するために、佐藤(1993)によって作成された『対人的な構えに関する尺度』を用いた。この尺度は全25項目から構成され、3つの因子「親和性」「対人不安」「孤立性」からなる。

 被調査者に、5件法(1.まったくあてはまらない 2.あまりあてはまらない 3.どちらとも言えない 4.ややあてはまる 5.非常にあてはまる)で回答を求めた。

(4)充実感尺度(「自己肯定意識尺度:対自己領域」より)

 日々の生活における充実感を測定するために、青年期の自己評価や適応感を測定する尺度である自己肯定意識尺度(平石1990)より、対自己領域の3つの下位尺度の中から「充実感」を用いた。尺度は全8項目から構成される。

被調査者に、5件法(1.まったくあてはまらない 2.あてはまらない 3.どちらとも言えない 4.ややあてはまる 5.非常にあてはまる)で回答を求めた。