最後に今後の課題について述べる。1つは、青年に対して両親の夫婦関係からの間接的プロセスでの影響を考える際、両親の養育態度以外にどのような要因があるのかということを検討する必要がある。宇都宮(2004)は両親の結婚生活のコミットメントが女子青年の自尊感情に対して影響を与えていることを明らかにしている。そのことから、両親が子どもに対してどのように関わっているのかということだけでなく、家庭環境がどのような雰囲気に包まれているのかということが自尊感情に影響を与えていると考えられる。具体的には、家庭の雰囲気が子どもに与える影響について、先行研究ではどのようなことが明らかにされているのかということを基に、質問紙の項目を考えていく必要があるだろう。また、今後も女子青年のみだけでなく、男子青年も対象として研究を進めていくことで、両親の夫婦関係が青年期に与える影響についてより深く考えていくことができるようになるだろう。
2つは、友人関係の親密性を尋ねる際、今回のように感情面のみを質問するのではなく、行動面でどのような関わりをもっているのかということについても尋ねる必要があるだろう。友人との関わりの中では相手の事を信頼していたり、相手から信頼されていたりするかということは重要であろう。しかし、それだけでなく、友人とどのような関係を築いているのかということも合わせて尋ねることで、友人関係をタイプ別に分け、タイプごとの自尊感情への影響についてより具体的に考えることができることが期待される。