本研究では、青年の自尊感情に両親の夫婦関係や養育態度、友人関係がどのように関係しているのかについて検討した。
青年の自尊感情に対して、両親の夫婦関係は父親の受容的な子どもに対する養育態度を媒介として影響を与えていることが示された。また、両親の夫婦関係や子どもに対する養育態度が自尊感情に与える影響は、友人関係の親密性より一部では大きなものとなっていた。これらのことから、青年の自尊感情にとって両親がどのような関係であるのかといったことや両親からどのように関わられていたのかということが重要であると言える。このことは、青年期になり家族との関わりだけでなく、友人など家族以外の他者との関わりが多くなっても両親の関係で悩んだり、ストレスを感じたりする青年が存在する可能性を示している。青年にとって、両親の夫婦関係がどのようなものであるかは家庭が落ち着ける場所であると感じることに繋がったり、自分のことを大切な存在だと感じることと関係したりすると考えられる。子どもにとって安心出来る家庭は乳幼児期や学童期の子どもだけでなく、青年期や成人期の子どもにとっても安心出来るものになるのだろう。以上のことから、子どもの自尊感情の発達において両親が与える影響は大きいと言える。今後は、両親の夫婦関係と子どもについてのみを考えるだけでなく、家族関係全体についても考えて検討を重ねていくことが必要である。そのことを通して、子どもが家庭の中でどのように育っていくのか、家族や周囲の人々は子どもに対してどう接していけばよいのかを考えていくことは子どもの発達を考えるうえで重要だろう。
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