本研究は青年の自尊感情と両親や友人の関係に注目して行われた。目的は2つある。1つは、両親の夫婦関係が両親の子どもに対する養育態度を媒介として子どもである青年の自尊感情に与える影響の有無、また男女による影響に違いの有無を明らかにすることであった。2つは、青年の自尊感情にとって両親の夫婦関係及びその養育態度と友人関係のどちらの方がより強い影響をもつのかということであった。子どもの評価による両親間の関係15項目、父と母それぞれの子どもの認知する親の養育態度各14項目、友人関係の親密性の認知14項目、自尊感情23項目から構成された質問紙が、大学生203名に実施された。その結果明らかになったことは以下の3点であった。(1)両親の夫婦関係は父親の子どもに対する養育態度を媒介として青年の自尊感情に影響を与えていた。(2)男子青年の方が女子青年より自尊感情に対して両親からの影響を強く受けていた。(3)友人関係の方が両親の夫婦関係及び子どもに対する養育態度よりも青年の自尊感情に影響を与えている場合と、両親の夫婦関係及び子どもに対する養育態度の方が友人関係よりも青年の自尊感情に影響を与えている場合があった。以上の結果から、青年の自尊感情にとって、両親から受容されるということが大切であり、両親の夫婦関係が青年期の子どもにとって大きな影響を持つことが示唆された。また、両親の夫婦関係が青年に与える影響について、女子青年だけでなく男子青年についても調査を進めていくべきであることが示唆された。