本研究の目的は、自己関連付けとの関連が先行研究で明らかにされている
公的自己意識に、対人的自己効力感を加え、
この2つの要因が自己関連付けにどのように関連しているか
を検討することである。
つまり、公的自己意識の高さがそのまま自己関連付け傾向につながるのではな
く、公的自己意識が高くても、対人場面おいてどの位相手とうまく関係を築いていけるか
という信念や自信である対人的自己効力感を持っているならば、
自己関連付け傾向は高くならないのではないかということについて検討した。
被験者は、大学生270名(男子117名、女子153名)であった。
その結果、全体的に見ると対人的自己効力感は自己関連付け傾向と関連する大きな要因とはいえ
なかった。これは、自分が友人とうまくやっていけるという自信や友人との信頼
関係、安定感があることと、他者の言動を自分に向けられたものと被害的
に感じるかどうかということは関連が低いということを示している。
本研究では、公的自己意識と自己関連付けが予想以上に関連していた。
対人的自己効力感の低さは自己関連付けを強める要因であると想定していたが、
それは公的自己意識が高いということが条件であった。
相手への信頼や相手からの信頼、そして人とうまくやっていけるという自信
よりも、
人から見られているという自意識のほうがより自己関連付けを強めていることがわかった。
また、対人的自己効力感尺度の中の「友人への信頼」得点においては、
「友人への信頼」得点の低い者が、高い者よりも自己関連付けが高いという結果であった。
しかし、「友人からの信頼」得点においては自己関連付けとの関連は見られなか
った。つまり、信頼感という視点から見てみると自分が相手から信頼されている
かどうかということよりも、自分が相手を信頼しているかどうかというこ
との
ほうが自己関連付けにより重要であることを新たに発見した。
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