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【方法】
1.調査対象
三重大学の学生 43名(教育学部22名・医学部21名 男10人・女33人)
被験者は、将来の志望と学習内容に関連の深い教育学部と医学部を対象とした。
平均年齢は19.6歳であった。
2.調査時期
2006年11月から12月
3.調査場所
別の場所で待ち合わせ移動し、実験室にて行った。
実験者と被験者は向かい合わせに座り、机の中央、被験者から見て右手に録音装置(カセットレコーダー (SONY CASSETTE-CORDER TCM-400))を置いた。録音装置の音は、微量で、無視できる程度のものであった。周囲は比較的静かで、室内は常に電気をつけ、一定の明るさのある状態であった。
4.実験手続き
被験者は「記憶に関する調査」という呼びかけで参加し、実験はひとりずつ行った。
実験内容は、まず気分状態・動機づけ・職業へのイメージを質問紙で測った。その後、インタビューで感動体験を尋ね、感動体験の想起を促した。感動体験は、教育学部生には教育に関するもの、医学部生には医療や看護に関するものを尋ねた。それぞれの将来の夢に関係するような感動体験の想起を求めることで、職業と関連の深いであろう現在の大学での学習への動機づけとの関連をみるためである。インタビューのあと、再び気分状態・動機づけ・職業へのイメージを質問紙にて測定した。
5.質問紙の構成
質問紙は、フェイスシート・現在の気分状態の尺度・総合的学習動機づけ尺度・職業をイメージしたときの気分状態の尺度・空白のページ・現在の気分状態の尺度・総合的学習動機づけ尺度・職業をイメージしたときの気分状態の尺度・職業意識や話した感動体験についての質問・その他の質問、という構成だった。フェイスシートでは調査についての説明がなされ、被験者の基本属性(年齢・性別・学部学科・学年)が尋ねられた。空白のページでは、質問紙の中断が告げられており、そのタイミングでインタビューに入った。各尺度については以下の通りである。
(1)感情状態の尺度
覚醒状態で快なものと、非覚醒状態で不快なものを測った。
覚醒・快として、一般感情尺度(小川・門地・菊谷・鈴木,2000)から因子「肯定的感情」から7項目(活気のある 楽しい 充実した 陽気な 愉快な 元気な 快調な)、非覚醒・不快として多面的感情状態尺度(寺崎・古賀・岸本,1991)から倦怠5項目(だるい 疲れる つまらない 退屈な 無気力な)に「めんどくさい」を加えた計6項目を使用した。
項目は1.感じない2.やや感じる3.まぁまぁ感じる4.とても感じる の4件法で回答を求めた。
この13項目は、教示の仕方を変えることによって現在の気分状態と、職業についてイメージしたときの気分状態、2パターンを尋ねることに使用した。
(2)総合的学習動機づけ尺度
動機づけを測定するため、中西・伊田(2006)による総合的動機づけ診断より、感情的要因と物理的環境を除いた、効力予期・結果予期・興味価値・利用価値・私的獲得価値・公的獲得価値・身体的要因・社会的環境要因の8因子、各4項目計32項目を使用した。感情的要因は、学習時の感情を尋ねたものであり、感動体験想起前後での変化を見るには不適切であったこと、また、感情状態で尋ねているため必要ないと判断し、削除した。物理的環境については、感動体験想起による変化はしようがないため、削除した。
質問は1.まったくそう思わない 2.あまりそう思わない 3.どちらともいえない
4.ややそう思う 5.とてもそう思う の5件法で回答を求めた。
(3)その他の質問
上記以外に、想起後の質問では、職業志望度についてと、体験の印象深さについて尋ねた。
どれくらい職業に対する志望があるかについて、「あなたにとって、教師(医師・看護士)という職業は」という聞き出しで、1.すごくなりたい職業だ2.なりたいと思う職業だ3.なってみてもいいと思う職業だ4.できればなりたくない職業だ5.絶対になりたくない職業だの5つから選択を求めた。
また、想起した感動体験について、どのくらい印象深い体験であるかを尋ねるため、「今日話した体験は」1.特に印象深い体験だ2.比較的印象深い体験だ3.あまり印象深くない体験だ 4.ほとんど印象にない体験だ、の4つから選択を求めた。
6.面接の手続き
質問紙のあと、「あなたが今までに体験したり、見たり聞いたりしたことで、できれば教育(医学・看護)に関するもので、感動した体験があれば教えてください」と、感動体験について話してもらった。被験者が話す間、実験者はうなずき、あいづちを打ったり、相手の言葉を繰り返したりした。話が被験者の中で完結し、発言が終わった時点で、それまでの話のなかで足りないところがあれば尋ね、被験者が詳しく思い出すようにした。インタビューは基本的に以下の通りの流れであった。
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