問題意識と目的
- 自伝的記憶についてのこれまでの研究
これまでの自伝的記憶研究では,レミニッセンス・バンプや幼児期健忘,フラッシュバルブメモリー,再構成的記憶に代表される“自伝的記憶の内容,想起のされ方”であったり,自伝的記憶がどのように保持されているのかといった“自伝的記憶の構造”について注目が寄せられていました。
しかし,このように「what」「how」についての研究が充実している中,“なぜ自伝的記憶が存在するのか,その存在意義は?”という「why」についての研究,すなわち 自伝的記憶の機能についての研究は多くないという現状です。 - そんな中,近年になりようやく自伝的記憶の機能が注目されるようになってきました。
現段階では,自伝的記憶には
@自己を支える機能 :パーソナリティとの関連性
A社会的機能 :他者に記憶を語る事を通じてコミニュケーションスキルを高める
B方向付けとしての機能 :行動を動機づけたり,生きていく上での指針となる
という主に3つの機能があると言われています。