要旨
問題と目的
方法
考察
引用文献
結果
各下位尺度の記述統計をTable1に示す。
1.操作チェック
実験条件の操作が実験者の意図通りに働いているかを確認するため、実験条件を独立変数、操作チェックの項目を従属変数とした分散分析をおこなった(Table2)。
結果、説得者の専門度においては、交互作用およびいずれの主効果も認められなかった。また、意見の納得度においては、論拠の主効果のみが認められた(F(1,269)= 31.717,p<.001)。
2.尺度構成
2-1.男性性尺度
男性性尺度20項目の内的整合性を検討するために、α係数を算出したところ、α=.884と十分な値が得られた。
2-2.女性性尺度
女性性尺度20項目の内的適合性を検討するために、α係数を算出したところ、α=.884と十分な値が得られた。
2-3.外向性尺度
外向性尺度10項目の内的適合性を検討するために、係数を算出したところ、α=.885と十分な値が得られた。
3.相関
3-1.各下位尺度間の相関
各下位尺度間の相関分析の結果をTable3に示す。
「男性性」は、「女性性」(r = .176, p < .01)、「外向性」(r = .346, p < .01)と有意な正の相関を示し、「女性性」は、「外向性」(r = .476, p < .01)と有意な正の相関を示した。
つまり、「男性性」と「女性性」との間にはほとんど相関はなく、「男性性」と「外向性」との間および「女性性」と「外向性」との間には、弱〜中程度の相関がみられた。
3-2.各下位尺度と印象・評価・態度間の相関
各下位尺度と印象・評価・態度間の相関分析の結果をTable4に示す。卒業試験導入の賛成度(ポスト)の得点から卒業試験導入の賛成度(プレ)の得点を差し引いた得点を「差・賛成度」と示す。
同様に、卒業試験導入の好ましさ(ポスト)の得点から卒業試験導入の好ましさ(プレ)を差し引いた得点を「差・好ましさ」と示す。
「男性性」はどの印象・評価・態度とも有意な相関がみられなかった。「女性性」は「説得者の信頼度」(r = .157, p < .01)、「説得者の専門度」(r = .166, p < .01)、「説得者の好ましさ」(r = .133, p < .05)、「意見の好ましさ」(r = .144, p < .05)とそれぞれ有意な正の相関がみられた。
「外向性」は「説得者の専門度」(r = .149, p < .05)と有意な相関がみられた。
しかし、いずれも有意ではあっても強さとしては、ほとんど相関はないものであった。
4.性差
各下位尺度得点の性別による差をみるために、t検定をおこなった。その結果をTable5に示す。
「男性性」得点は男性の方が有意に高く(t= 4.234, p < .001)、「外向性」得点は女性の方が有意に高い(t= -2.375, p < .05)と示された。
「女性性」得点においては、性別による有意な差はみられなかった。
5.重回帰分析
専門(高・低)と論拠(強・弱)の2×2の実験条件ごとに、「男性性」「女性性」「外向性」これらの交互作用項である「男性性×女性性」「女性性×外向性」「男性性×外向性」を独立変数、
「説得者の信頼度」「説得者の専門度」「説得者の好ましさ」「意見の納得度」「意見の好ましさ」「差・賛成度」「差・好ましさ」を従属変数とした重回帰分析をおこなった。
また、同様の条件ごとに、「説得者の信頼度」「説得者の専門度」「説得者の好ましさ」「意見の納得度」「意見の好ましさ」を独立変数、「差・賛成度」「差・好ましさ」を従属変数とした重回帰分析をおこなった。
その結果をTable6~13に示す。また、交互作用項が有意であった場合にのみ単純主効果の検定のために散布図を描いた。それをFigure1~8に示す。
5-1.専門高・論拠強条件
Table6及び7は、専門高・論拠強条件の結果である。「男性性」から「意見の納得度」(β=-.269,p=.043)(β=-.334,p=.016)「意見の好ましさ」(β=-.275,p=.037)(β=-.369,p=.006)「差・好ましさ」(β=-.286,p=.030)(β=-.306,p=.029)に負の影響が見られた。
5-2.専門高・論拠弱条件
Table8及び9は、専門高・論拠弱条件の結果である。「女性性」から「説得者の信頼度」(β=.473,p=.001)(β=.416,p=.009)、「説得者の専門度」(β=.415,p=.004)(β=.372,p=.024)、「意見の好ましさ」(β=.546,p=.000)(β=.561,p=.001)に正の影響が見られた。
「外向性」から「説得者の信頼度」(β=-.430,p=.003)、「意見の納得度」(β=-.310,p=.043)、「意見の好ましさ」(β=-.353,p=.014)に負の影響が見られた。「外向性」から「差・好ましさ」(β=-.331,p=.032)に負の影響が見られた。
「男性性×外向性」から「説得者の信頼度」(β=.357,p=.048)に負の影響が見られた。Figure1から読み取ると、男性性高群においては、「外向性」が高くなるほど「説得者の信頼度」が低くなっているが、男性性低群においては、「外向性」の変化に伴う「説得者の信頼度」の変化は見られなかった。
「説得者の好ましさ」から「差・賛成度」(β=.381,p=.042)「差・好ましさ」(β=.467,p=.009)に正の影響が見られた。「意見の好ましさ」から「差・賛成度」(β=.456,p=.004)「差・好ましさ」(β=.425,p=.005)に正の影響が見られた。
5-3.専門低・論拠強条件
Table10及び11は、専門低・論拠強条件の結果である。「男性性×女性性」から「説得者の信頼度」(β=-.302,p=.026)に負の影響が見られた。
Figure2から読み取ると、男性性高群・低群どちらも「女性性」が高くなるほど「説得者の信頼度」が高くなっている。
「女性性×外向性」から「説得者の信頼度」(β=.276,p=.027)「説得者の好ましさ」(β=-.296,p=.040)に負の影響が見られた。
Figure3及び4から読み取ると、女性性高群では「外向性」の変化に伴う「説得者の信頼度」の変化は見られなかった。
女性性低群では「外向性」が高くなるほど「説得者の信頼度」が高くなっている。女性性高群では「外向性」の変化に伴う「説得者の好ましさ」の変化は見られなかった。
女性性低群では「外向性」が高くなるほど「説得者の好ましさ」が高くなっている。「男性性×外向性」から「説得者の好ましさ」(β=.282,p=.035)に正の影響が見られた。
Figure5から読み取ると、外向性高群では、「男性性」が高くなるほど「説得者の好ましさ」が高くなっている。外向性低群では、「男性性」が高くなるほど「説得者の好ましさ」が低くなっている。
「説得者の信頼度」から「差・賛成度」(β=-.415,p=.022)に負の影響が見られた。
5-4.専門低・論拠弱条件
Table12及び13は、専門低・論拠弱条件の結果である。
「男性性」から「説得者の専門度」(β=.286,p=.027)「説得者の好ましさ」(β=.335,p=.008)(β=.286,p=.042)に正の影響が見られた。「女性性×外向性」から「説得者の信頼度」(β=.334.p=.018)に正の影響が見られた。
Figure6から読み取ると、外向性高群では、「女性性」が高くなるほど、「説得者の信頼度」が高くなっている。外向性低群では、「女性性」が高くなるほど、「説得者の信頼度」が低くなっている。「男性性×外向性」から「説得者の信頼度」(β=.400,p=.019)に正の影響が見られた。
Figure7から読み取ると、外向性高群では、「男性性」が高くなるほど、「説得者の信頼度」が高くなっている。外向性低群では、「男性性」が高くなるほど、「説得者の信頼度」が低くなっている。「男性性×女性性」から「差・好ましさ」(β=.401,p=.030)に正の影響が見られた。
Figure8から読み取ると、女性性高群では、「男性性」が高くなるほど、「差・好ましさ」が高くなっている。女性性低群では、「男性性」の変化に伴う「差・好ましさ」の変化は見られなかった。「説得者の信頼度」から「差・好ましさ」(β=.306.p=.020)「差・賛成度」(β=.=.346,p=.006)に正の影響が見られた。
「説得者の好ましさ」から「差・好ましさ」(β=.345,p=.026)に正の影響がみられた。