U、研究T
U-1、目的
プログラムの事前と事後で、苦手である・気をつかってしまう・うまくつきあえない・つきあいにくいなどと思う相手とのつきあい意識の変化を見るための尺度「つきあい意識尺度」を作成する。
U-2、方法
(1) 対象者
三重県内のM大学の学生 139名
三重県内のm大学の学生 103名
愛知県内のN大学の学生 55名
計297名
(2)実施期間
2002年11月
(3)質問項目の内容
質問紙は、5つの尺度から抜粋し、計30項目からなる。
質問項目1・3・4・5・10・20・23・24・28の計9項目は、橋本剛 1997大学生における対人ストレスイベント分類の試み 社会心理学研究,13,64−75. を参考にした。質問項目13・14・30の計3項目は、落合良行・佐藤有耕 1996 青年期における友達とのつきあい方の発達的変化 教育心理学研究,44,55−65. を参考にした。質問項目2・6・11の計3項目は、雲林院武士 2001 大学生活改善プログラムに関する研究―解決焦点化プログラムと問題焦点化プログラムの比較― 三重大学教育学部卒業論文(未公刊) を参考にした。質問項目9・19の計2項目は、手島秀彦 2002 解決焦点化アプローチに関する研究―進路指導への適応について― 三重大学学校カウンセラー養成内地留学研究論文(未公刊) を参考にした。質問項目7・12・15・18・21・22・25・26・29の計9項目は、村田由三子 2003 小学校での学級を対象とした解決焦点化アプローチに関する研究―苦手教科意識改善に及ぼす効果― 三重大学大学院教育学研究科修士論文(準備中)を参考にした。そして、質問項目8・16・17・27の計4項目は自分で付け加えた。
なお、被験者が「大学生活の中で、大学生で同性であり、苦手である・気をつかってしまう・うまくつきあえない・つきあいにくいという人で、今後もっとうまくつきあえたらいいのになあ、と思う相手」との関係を思い浮かべながら回答できるよう、各質問項目の冒頭に手を加えた。
U-3、結果と考察
(1) 因子分析結果
因子分析を行う前に、逆転項目である質問項目1・3・4・5・8・10・14・16・17・20・23・27・28・30の数値を逆転させた。そして、質問紙に用いた尺度がどのような因子に規定されているのかを明らかにするために、因子分析(主因子法、バリマックス回転)を行った。 この結果、質問項目(全30項目)は解釈可能性の点から4因子解が適当であると判断した。第1因子は質問項目1・10・24・27・28・29・30、第2因子は質問項目7・9・12・18・22、第3因子は質問項目3・5・16・23、第4因子は質問項目6・15・19・25とした。なお、質問項目2・4・8・11・13・14・17・20・21・26は因子分析の結果から除外した。
各因子に高負荷量を示した項目から、第1因子は、「相手との会話」や「付き合っていく」など、円滑な意志疎通を図るという因子と解釈し、「円滑な意志疎通尺度」と命名した。
第2因子は、「一生懸命取り組んでいる」や「努力しようと思う」、「うまくいくようにいろいろ考える」、「自分なりに取り組んできた」などの対人関係を作っていく為に自分で努力している因子と解釈し、「関係作りへの努力尺度」と命名した。
第3因子は、「相手に合わせた言動をとってしまう」や「愛想笑いをしてしまう」、相手に気をつかう」などからの相手に無理に合わせた行動である。しかし、逆転項目であることから無理のない関わりをする因子だと解釈し、「無理のない関わり尺度」と命名した。
第4因子は、「自分にはいろいろな良いところがある」や「自分のことが好きである」、「自分にはうまくやっていく力がある」などの自己を肯定する因子だと解釈し、「自己肯定尺度」とそれぞれ命名した。
(2)信頼性分析
Cronbqchのα係数による信頼性分析の結果、第1因子(質問項目1・10・24・27・28・29・30)の円滑な意志疎通尺度は.8247であった。第2因子(質問項目7・9・12・18・22)の関係作りへの努力尺度は.8304であった。第3因子(質問項目3・5・16・23)の無理のない関わり尺度は.7441でった。第4因子(質問項目6・15・19・25)の自己肯定尺度は.7557であり、ほぼ基準を満たしていると考える。