1.調査対象者 2.調査時期 3.手続き 4.質問紙の構成 1)サークル活動に関する質問項目 2)アルバイトに関する質問項目 |
1.調査対象者 国立M大学の学生200名(教養科目の受講生138名と教育学部専門科目の受講生62名)を対象とした. 2.調査時期 2009年11月下旬から12月上旬にかけて実施した. 3.手続き 調査は講義時間中に質問紙を配布し,一斉に実施した.最近3ヶ月以内にサークル活動とアルバイトのどちらも活動をしていない調査対象者については,フェイスシートのみ回答させ,その後の質問には回答させなかった.また,サークル活動あるいはアルバイトのどちらか一方のみの活動をしている調査対象者については,活動しているものに関する質問にのみ回答させた.質問紙の回答に要した時間は,サークル活動に関する質問とアルバイトに関する質問の両方に回答した場合で,15分程度であった. 4.質問紙の構成 p.1 フェイスシート:調査対象者の性別,年齢,学年,最近3ヶ月以内のサークル活動経験の有無,最近3ヶ月以内のアルバイト経験の有無について尋ねた. p.2-4 サークル活動に関する質問:対先輩行動尺度(20項目),サークル葛藤方略スタイル尺度(20項目),所属しているサークル集団の属性の認知と,サークル集団への取り組みの姿勢に関する質問項目(11項目) 1)サークル活動に関する質問 対先輩行動尺度 新井(2004)によって作成された対先輩行動に関する尺度は,「親交」「衝突回避」「攻撃」「礼儀」「参照」「服従」の5因子からなる.本研究では,このうち,新井(2004)の研究で下位尺度得点の平均値が低かった「攻撃」因子の項目を除き,他の5因子から,それぞれ因子付加の高い項目から順に4項目ずつ,全20項目を抜き出して使用した(Table1). まず,調査対象者には「あなたがよく知っている,サークル(またはクラブ・委員会)の先輩を一人,思い浮かべてください.」という教示文の後に,その先輩の性別と学年を回答させた.そして,調査対象者が想起したその先輩に対する調査対象者自身の普段の行動として,対先輩行動尺度の各項目がどの程度当てはまるか,それぞれの項目について「全く当てはまらない」を1点,「非常に当てはまる」を5点とする5件法で評定させた. Table1 対先輩行動尺度の項目 ![]() サークル葛藤方略スタイル尺度 2次元5分類の方略スタイルモデルを採用している,加藤(2003)の対人葛藤方略スタイル尺度(HICI)を一部改変して用いた.HICIは「統合スタイル」「回避スタイル」「強制スタイル」「自己譲歩スタイル」「相互妥協スタイル」の5因子からなり,各因子4項目の全20項目である.加藤(2003)では,友人との葛藤状況を想定してHICIを作成しているため,項目中の葛藤相手の表記が「友人」となっている.本研究では,葛藤相手をサークル集団の先輩に設定することから,HICIの「友人」という表記を「先輩」に書き換え,サークル葛藤方略スタイル尺度として使用した(Table2). Table2 サークル葛藤方略スタイル尺度の項目 ![]() まず,調査対象者には,サークル活動における先輩との葛藤状況を想定したシナリオを呈示した.そして,その葛藤状況に対して調査対象者自身がとる行動として,サークル葛藤方略スタイル尺度の各項目がどの程度当てはまるか,それぞれの項目について「全く当てはまらない」を1点,「非常に当てはまる」を5点とする5件法で評定させた.ここでの葛藤相手の先輩は,@の質問で想起した先輩を想定させた. 葛藤状況を想定したシナリオは,心理学を専攻する教育学部生6名(4年生2名,3年生4名)の協力を得て,彼らとの合議の上で独自に作成したものである.シナリオの内容を以下に示す. ![]() 所属するサークル集団の属性の認知と,サークル活動への取り組みの姿勢についての質問項目 調査対象者が自分の所属する集団の属性をどう捉えているか,その上でどのように活動に取り組んでいるかを知るため,サークル集団の属性や取り組みの姿勢に関する質問を設けた.対人葛藤に関係すると考えられるサークル集団の属性や,取り組みの姿勢に関する6つの記述について,「全く当てはまらない」を1点,「非常に当てはまる」を5点とする5件法でそれぞれ評定させた.サークル活動への取り組みの姿勢については,「わたしは,所属している団体の活動に,積極的にかかわっている.」「わたしは,所属している団体の活動において,重要な役割を担っていると思う.」「わたしは,所属している団体の先輩も参加する飲み会などに,積極的に参加している.」の3項目であった.サークル集団の属性については,「わたしの所属している団体では,同期のメンバーと連携しないと上手く活動が行えない.」「わたしの所属している団体では,先輩と連携しないと上手く活動が行えない.」「わたしの所属している団体では,活動時間外に,先輩を含むグループで食事などに行くことがよくある.」の3項目であった. 被験者が所属している集団について,その集団に所属している目的について回答を求める質問項目も設けた.「健康維持や体力づくりのため」「自分の視野を広げるため」「友人を得るため」などの8つの選択肢の中から,目的として当てはまるものを重要度が高いものから順に3つまで選択させる形式であった. このほかに,団体のメンバーの数,団体の活動日数(頻度),団体の種類,他に所属している団体の数を尋ねる質問項目を設けた. 2)アルバイトに関する質問項目 対上司行動尺度 対先輩行動尺度の質問項目における「先輩」という表記を「上司」に書き換えて使用した(Table3).
アルバイト葛藤方略スタイル尺度 サークル葛藤方略スタイルの「先輩」という表記を「上司」に書き換え,アルバイト葛藤方略スタイル尺度として使用した.評定方法は,サークル葛藤方略スタイルと同様であった(Table4). Table4 アルバイト葛藤方略スタイル尺度 アルバイト場面における葛藤を想定したシナリオについても,独自に作成した.その内容を以下に示す.
所属するアルバイト集団の属性の認知と,アルバイトへの取り組みの姿勢についての質問項目 そのアルバイトをしている目的についても,サークルに関する質問項目と同様に回答を求めた. このほかに,アルバイト先の従業員の数,アルバイトの勤務日数(頻度),アルバイトの職種,他に勤務しているアルバイトの数を尋ねる質問項目を設けた.
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