結果



1.描画反応の分類
 描画対象のアンパンマン付きコップの側面のみを呈示し、これが何であるかを質問した際、コップと答えられなかった対象児(年中注視3名、年中非注視1名)については分析から除外した。
田口(2001)の発達理論に基づいて分類基準を設定し、得られたすべての描画反応を、標準型知的リアリズム描画、コミュニケーション型知的リアリズム描画、視覚的リアリズム描画、その他のいずれかに分類した。
描画反応を例に挙げ説明する。取っ手の付いたコップの絵は、描画時の対象児の視点からは見えていない要素が描かれた反応である。これは、自分の中に元々持っている「コップとはこういうものだ」という内的モデルに基づいて描かれた<標準型>の描画反応だと解釈できた。これに対し、アンパンマンを一部、または全体的に描いた絵は、一般的なコップには存在しない、この描画対象固有の情報が反映されている。このことから、田口(2001)にならい<コミュニケーション型>の描画反応だと解釈できた。また、取っ手のないコップの絵は、見え通りに描くことができており、<視覚的リアリズム>描画だと解釈できた。
この基準をもとに、ランダムに選んだ40名について独立した2人の評定者がどの描画反応にあてはまるかを評価した。一致率は90%であった。評価が不一致だったものについては両者が協議の上再評価した。十分な一致率が得られたため、残りの対象児に関しては、実験者が評定を1人で行った。
 
2.他者注視が描画に与える影響
 各条件群においてどのような描画反応がみられたのかについて検討を行った。注視条件では標準型知的リアリズム描画が20名(52.6%)、コミュニケーション型知的リアリズム描画が10名(26.3%)、視覚的リアリズム描画が5名(13.2%)、その他が3名(7.9%)であった。一方非注視条件では標準型知的リアリズム描画が14名(35.9%)、コミュニケーション型知的リアリズム描画が12名(30.8%)、視覚的リアリズム描画が8名(20.5%)、その他が5名(12.8%)であった。各条件群において描画反応の表出に差があるかxイ検定を行ったが、有意な差はみられなかった(xイ???=2.420, n.s.)。
 
3.年齢差による影響 
 各年齢群においてどのような描画反応がみられたのかについて検討を行った。年中児では標準型知的リアリズム描画が15名(40.5%)、コミュニケーション型知的リアリズム描画が13名(35.1%)、視覚的リアリズム描画が4名(10.8%)、その他が5名(13.5%)であったのに対し、年長児では標準型知的リアリズム描画が19名(47.5%)、コミュニケーション型知的リアリズム描画が9名(22.5%)、視覚的リアリズム描画が9名(22.5%)、その他が3名(7.5%)であった。各年齢群において描画反応の表出に差があるかxイ検定を行ったが、有意な差はみられなかった(xイ???=3.509, n.s.)。
 



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